東部クラウドリームは常に戦争が絶えなかった。
名誉と忠誠で武装する青き光の騎士、幸福と蜜を求め飛び交う妖精、巨大な野心に群がる人間…。
信念、金、あるいは欲望のために多くの命が大地を血で染め、枯れ葉のように朽ち、かげろうのように忘れ去られた。
長きに渡る戦争によって大地は荒廃し、生き残った者たちは怪物の餌食となった。
だが、いつの世も文明を発展させるのは葛藤だ。
複雑に絡み合う利害関係があまたの犠牲と共に技術発展の呼び水となり、人間は己の利を求めて競い合った。
彼らにとってソウルワーカーは救いだった。未知への対抗手段を見い出した人類は、徐々にまとまりを見せはじめた。
――英雄とは戦争の中で生まれるものだ。
「最初のソウルワーカー」ロードが人類をひとつへと導いた。
ロードは利害で動く人々を諭し、スタリーフォレスト連合を組織したのだ。
その人生は儚いものではあったが、彼が東部とスタリーフォレストへ残した遺産は枚挙にいとまがない。
その最たるものが「ロードズ」だ。
ロードの遺志を継ぐ彼らは「弱者を救うための強者の犠牲」という信条を打ち出した。
民衆からの支持、スタリーフォレスト連合の発展…ヴェシから人類を守る彼らはやがて神格化されはじめる。
そうしたロードズの秩序のもと、東部は統一されたのだった。
しかし、それも幾多の戦争でようやく得たものに過ぎない。
人々はそれぞれの都市で独立するかのようでいて、ひとたび「四星三森」の名のもとに集えば強固な結束を示す。
その結束はロードの信念を受け継ぐ大いなる意志によるものか、あるいはロードズの圧力によるうわべだけのものか…。
いずれにせよ、かの地で戦争が途絶えることはないだろう。
彼らはロードズの秩序のもと戦い続け、全クラウドリーム――ひいては全人類の意志統一を目指すのだから。
その結束の影に、誰の目にもとまらぬ犠牲を払おうとも…。