Soulworker

BACKGROUND STORY

リリーは大富豪の家に生まれ、何不自由なく育った。
どのようなワガママもまかり通るような環境の中、
リリーに多大な影響を与えたのは、貧民街出身の養子である兄だった。

両親から愛情を注がれずに育ったリリーに、彼は人としての節度を教えてくれた。
リリーは血のつながらない同い年の彼を、「兄」と呼び慕った。

しかし、兄と過ごす幸せな日々が続くことを願うリリーの身に、突如災難が襲いかかる。

夜更けの騒がしさに目を覚ましたリリーは、兄の様子を確認すべく部屋を訪れる。
そこで彼女が目にしたのは、体が真っ二つに裂かれた兄と、それを貪り食う怪物の姿だった。

リリーは咄嗟にゴルフクラブを手に取った。
しかし視界を赤く染める返り血と、うつろな目で天を見上げる兄の姿を前に

彼女はただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

そうしたさなか、追い打ちをかけるように「空白」は訪れた。
邸宅は跡形もなく崩れ、すべてが渦に吸い込まれていく。
あまりに現実離れした光景にリリーの心は壊れ、かつて体験したことのない感情が彼女を支配する。

 

リリーは狂気に満ちた声で高らかに笑った。
「空白」の渦へと吸い込まれながら――。